2014年7月20日日曜日

【レポート】2014年の上半期に気になった作品

ご無沙汰しております、大橋です。
前の記事から三ヶ月も更新してないし、なにより自分の考えを活字に起こさないのも良くないと思い久々にblog更新。5〜6月はゆずのコンサートムービーやらazuma hitomiの映像周りの仕事で休みなしな感じでしたが、やっと生活が落ち着きを取り戻しました。。


そういえば昨年やってた毎月の気になる作品をチョイスしてたんですが、今年は特にやらなくても良いかなーと思ってたものの、一度インプットしたものを整理する機会はあった方が良いかなーと思ってリストアップしました。


カラスは真っ白 "fake!fake!" / A crow is white "fake!fake!" from wataru336 on Vimeo.
一発目はまずコレ。
植草航「やさしいマーチ」を初めて見たときの衝撃を思い出させる「カラスは真っ白」のMV。ビデオの構造的にも音楽的にも先に挙げた作品と類似してるところが多いが、(繰り返し似たレイアウトで少女が何かに走り向かってゆく)ミュージシャンのバックグラウンドを拾ったかのような舞台設定で、パステル調の雪景色と攻撃的でビビットなアニメーションの描写が彼の過去作品にはなかったギャップと痛快さがあってとても印象的で、新しい魅力を感じた。




Lumière 6 Excerpt I from Robert Henke on Vimeo.
レーザープロジェクターを用いた映像作品。過去のマックス・ハットラーが作った「X」という作品を思い出させますが、よりプリミティブな光の表現として「レーザーがあったかーーー!!!」と関心させられました。教会で光の運動を見る、、、というのも良いですね。自分の作品もレーザーで投影したいです。CG表現のアウトプット先が今後、3Dプリンターのような物質性を帯びた表現か、今回のようにいかに光の純度を上げていくかの2択になるんじゃないかなーと思ったり。



Don't Hug Me I'm Scared: 1 from Don't Hug Me I'm Scared on Vimeo.
既視感というものを上手く利用した内容。テーマは知育番組そのものなんですが、欧米の児童向けのアニメーションを見えるかのような暴力と笑いに溢れてて爆笑しました。



何故自分でもコレに感動したのが未だに分析しきれないけど、どうしてもピックアップしたいので。

BEARS ON STAIRS from DBLG on Vimeo.
3DCGがパペットアニメーションの代用から一周回って3Dプリンターを用いて3DCGが立体アニメーションになってしまったナンセンス感。あとクマの動きが良い感じです。これも中々笑えます。


Shape from Johnny Kelly on Vimeo.
ベクタールックのアニメーションで上半期目を引きつけたビデオ。レイアウトの美しさが光る内容ですが、面白いのがカメラが寄ったよきに単純な線が具象的なものに変容する表現が「解像度」の変化を面白く現してると思いました。


Springintgut & F.S. Blumm "Land Ab Neu" Music Video from nightcruising on Vimeo.
昔、学生CGコンテストをはじめとした国内のコンペを総なめした「ALGOL」の作者である岡本憲昭氏の実写MV。ムービーデータを3Dレイヤーにして箱庭的な空間にレイアウトした世界はgoogleのストリートビューをグリグリ見渡すような気持ち良さと妙なエモーションを感じさせる。2Dデータを3Dレイアウトするとチープになりやすいけど、そこを表現として自立させるところに痺れました。


スペシャプラス アイドルソングランキング from SPACE SHOWER TV on Vimeo.
上半期のトンチ大賞。こうして見ると人間の体の構造を垣間みる光の軌跡(CGだけど)が美しい(ヲタ芸だけど)コレ思い出した→


MIRAI MIZUE × PASCALS【WONDER -Trailer -】 from MIRAI_MIZUE on Vimeo.
水江未来氏の新作WONDERは劇場で行われた「ワンダーフル」で拝見しましたが、これまでの細胞アニメーションの持つレイヤー構造とは異なり、すべて一枚の原画でレイアウトが完結するように作られてるところが「細胞ルック」の作風では見られなかったポイントでした。有機的に飛躍する様々なイメージに、水江さんが目にしてきた形や色彩がフラッシュバックするかのようにメタモルフォーゼし、そこにアニメーションでしか出来ない表現を垣間みて感動しました。一方で劇場で過去作品も含めて一挙に見ると、JAM以降の細胞アニメーションの盛り上げ方が楽曲問わず最終的にカオスティックな方向に持っていきがちなので、今制作中の具象アニメーションがどういう構造を持ってるのかがとても気になるし楽しみです。



プロダクション風景をあえて見せてくパターンの中でも一番見ていて楽しかった作品。ザックリした感じも曲にハマってて良かった。



デモムービーですが、ハードの制約が生む質感にはグっと来ます。



最後は王道をテーマに。
実写のMVで「演奏シーン」「ダンス演出」という言葉だけならべると、いかにも手堅い演出になりがちだけど、舞台設定でそれらの王道演出を必然的な内容に変えた秀作。少女だらけのバレエ教室に色白の少年だけポツンといるシーンも美しいです。何げにミュージシャンに演技をさせるって結構リスキーだと思うんだけど、映像に見入ってしまいました。



ーーー

という感じです。実写多いかなーと思いつつもまとめてみたらアニメーションが多かったですね。。個人的に3Dプリンターをはじめとした新しいハードを使った映像表現が下半期に続出するんじゃないかと期待しちゃったりしてます。

という感じで下半期も宜しくお願いします。

2014年4月15日火曜日

最近のMVの傾向について雑感

youtubeで日本のバンド系のMVを見ると、プロジェクションされたスタジオをバックに演奏する、、、というアプローチのビデオがすごく増えたことに気づく。

予算がないなかで、スタジオ一室借りて作り込んだ映像を投映出来れば画面に動きやルックの変化も容易に作れて、グリーンバックで抜いて合成する必要もないしコスパに良いんだろうな、、、なんてことを思いながらMVを見ている。





これはちょっと離れ業。

プロジェクションじゃないけどLEDの映像を撮影。
現場めっちゃ眩しそう。

これらのような、『記録された映像を投映し、再び撮影する』タイプの手法って2年程前に開催された改装された東京駅にプロジェクションマッピングするイベントによる影響ってすごくあるんじゃないかな、って思っていて、日本であの手法が脚光を浴びた最初の作品じゃないだろうか。いままで映画館で何気なく見てた「プロジェクション」というものが「手法」として見られるようになった瞬間である。

プロジェクションマッピングは、HD再生出来るプロジェクターが大変高価であったり、マッピングするためのソフトを使いこなしたりなどハード面でもソフト面もそれなりに敷居が高いので、インディーズバンドではマッピングするには手は届かないけど、投映するだけなら話は別。

面白いのが、例に挙げたMVは、正面からガッツリ演者に映像を投映してるところ。

SEKAI NO OWARIのMVにもプロジェクションを使ったMVがあったけど、よく見るとリア(スクリーンの裏から)で投映されてる。リアで映せば演者に映像が被らずキレイに撮影することができる。このビデオが出来たのは2011年で、まだ東京駅のプロジェクションマッピングが開催される前のこと。

あえて正面から投映することで、立体物に当たる映像の歪みや、それによって落ちる影みたいな汚れを残すことに対して作る人も見る人も抵抗がなくなったのかなーと思ったり。つまり映像を投映するのは必ずしも平らである必要はないっていう前提が作り手にも受け手にも芽生えてるように思える。


そもそも記録した映像をまた記録するってちょっとおかしいと思うんですよ。カラーコピーしたプリントをまたカラーコピーする感じというか。テクノロジーを間違った使い方をしてると思うんだけど、映像業界の最新のフレームワークである3Dとか4Kなどに言えるリアルに・精密に見せる傾向とは明らかに逆の方向を見ている。


今後、手法としての投映がどう変化していくのかは楽しみだし、キレイに作ることが正解とは限らなくなった現状は、面白い傾向に向かってるなーなんて無理矢理まとめてみた。


眠いです。




2014年3月12日水曜日

【新作】fhána - kotonoha breakdown



ってなわけで、iTunes注目アーティスト2014に抜擢され、最近では『有頂天家族』『ウィッチ・クラフトワーク』のタイアップ曲で話題のバンド"fhana"のMV『kotonoha breakdown』を監督しました。

ビデオの込み入った話をするまえに、この楽曲の説明をすると、kotonohaは2011年の3/11に起きた一連の震災や原発事故、それによって変わってしまったSNSのコミュニケーションの姿を描いている。

fhanaのリーダーである佐藤純一氏は、元々FLEETっていうバンドで活動してて、おれもその頃からの活動は知ってたけど、3/11直後に津田大介氏と一緒に活動するなかで、伝えたいことが届けたい人に伝わらず、不本意な受け取り方をされたりと、そのときの状況をネットで見ていたので、今回の楽曲が生まれた経緯を呑み込みやすかった。

MVのプロットを考えるときは、なるべく曲と映像のテーマは違った方が良いと考えていて、それは見る人が表現に対しての解釈に広がりが生まれるんじゃないかと思っている。しかし、今回おれは、佐藤さんが体験したtwitterでのコミュニケーションの摩擦や、それによってネットの切迫とした空気感を、映像で翻訳したいと考えた。

(上から下に流れるカメラワークの演出が多いのも、twitterやFacebookのようなSNSのタイムラインを意識してる。)

画面作りの話をすると、アジアの伝統色の配色パターンや写真作品の色合いを参考にしつつ、ベクターベースの画面作りに湿気を感じさせるようなフィルターエフェクトを加えている。

そこに、セカンドライフのようなアバターの世界に、pixivで見られる『可愛い人物キャラクターとジオメトリックな景色』をモチーフにしたイラストのイメージを組み合わせている。ちなみにキャラクターデザインは、fhanaの自主制作盤の特典マンガを描いたゆずさちゃんが担当。

そして、背景の都市がテキストにメタモルフォーゼするのも、人がタイピンクするコミュニケーションに没頭することで周りの景色が見えなくなる心理状態を表現した。

よくアニメの演出で、キャラクターの心情を抽象的なビジュアルの背景で表現することがあると思う。


こんな感じに。

一方で、心象表現のもつ野暮ったさも感じていて、自分なりにそれを解決したかった。そこで、背景の作り方を10 x 10pxのグリッドにスナップするようなデザインにして、タイポグラフィもグリッドにおさまる図案的な作りにすれば、『背景→文字』の変化が自然に繋がると考えた。


モーショングラフィックスで表現するのであれば、景色→心象風景の変化もデザインのトンマナを揃えれば自然なつながりになる。

ちなみに小ネタになるのだが、佐藤さんが登場するシーンで、背景の文字をよく見ると、佐藤さんがfhanaを始める前のバンド『FLEET』でエゴサーチしてる演出をしたのは、このMVが3.11の前〜その後の切迫としたネットの世界を表現してるからだ。

あまり直接的に震災や原発事故をカリカチュアに描いた作品には妙な近寄り難さをおれは感じてしまうので、なるべく、今回のMVは佐藤さんの体験を汲み取りつつも、もう少し広い解釈が出来るようにしてみたつもり。

他にも小ネタとか言いたいことはあるが、全部書くと長くなるので割愛。

特にオチはないが、ビデオがリリースして間もなくテンションが高いうちに、制作ノートを書いておく。。。

ーーー
加筆

fhanaのリーダーである佐藤純一さんのblogに、今回の楽曲に対する想いが書かれてるので、是非そちらも見てほしいです。

http://fhana.jp/blog/jsato/2014/03/11/